10月の展示のお知らせ③

Ex Libris 蔵書票・ミニ版画(Atelier Olive 銀座ひとつぼギャラリー)

(会期終了までトップ記事として固定します。新しい記事はこの下に更新しています。)

Ex Libris 蔵書票・ミニ版画
銀座奥野ビルのAtelier Olive 銀座ひとつぼギャラリーにて、とても可愛いグループ展に参加させていただきます。
版画ゆうびんとして6cm角以下の小さな版画を定期的に作っていますが、これ単体で展示できる機会は今までありませんでした。今回このような機会に恵まれて、本当に嬉しいです。10点ほど出品予定です。
特に10月から12月は魅力的な版画家の方たちの個展が銀座、京橋でたくさん開かれます。ようやく歩くのに気持ちの良い季節、銀座へお越しの際は奥野ビルにもどうぞお立ち寄りください。

会場の様子はAtelier Olive 銀座ひとつぼギャラリーさんよりいただきました。とても楽しい展示になっています。(2024年10月29日追記)

日時:2024年10月21日(月)〜11月2日(土)13:00〜19:00(最終日17:00)
場所:Atelier Olive 銀座ひとつぼギャラリー(東京都中央区銀座1-9-8 奥野ビル207号)
アクセス:東京メトロ有楽町線「銀座一丁目」駅10番出口より徒歩1分 / 東京メトロ銀座線・日比谷線・丸の内線「銀座」駅A13番出口より徒歩5分 / 東京メトロ銀座線「京橋」駅2番出口より徒歩6分
instagram:Atelier Olive 銀座ひとつぼギャラリー

'Ex Libris 蔵書票・ミニ版画(Atelier Olive 銀座ひとつぼギャラリー)
'Ex Libris 蔵書票・ミニ版画(Atelier Olive 銀座ひとつぼギャラリー)

10月の展示のお知らせ②

第67回CWAJ現代版画展

第67回CWAJ現代版画展
一般社団法人CWAJが主催する現代版画展にて入選作品に選んでいただきました。
日本を代表する版画家の方々の作品も展示されます。版画の面白さが一気に見られる素晴らしい展示なのではないかと思います。しかも何とオンラインギャラリーでもご覧いただけます!すごい!場所も時間も気にせずご覧いただくことができますので、ぜひアクセスしてみてください。
展示作品を使ったカレンダーやグリーティングカードなども同時に販売されるのですが、手帳に出品作品を使っていただいています。展示される作品はすべて販売され、純益はCWAJ教育・奨学金プログラム、福島支援プロジェクトに充てられます。ご覧いただけましたら幸いです。

出品作品:'dessert dishes'

日時:2024年10月16日(火)〜10月20日(日)12:00〜18:00
場所:代官山ヒルサイドフォーラム(東京都渋谷区猿楽町18-8 ヒルサイドテラスF棟)
アクセス:東急東横線「代官山駅」下車徒歩3分 / 東急東横線、地下鉄日比谷線「中目黒駅」下車徒歩7分 / JR山手線、埼京線、地下鉄日比谷線「恵比寿駅」下車徒歩10分
公式サイト:第67回CWAJ現代版画展
instagram:@cwaj_japan

オンラインギャラリー
open:2024年10月22日(火)9:00
close:2024年10月27日(日)18:00
URL : CWAJ現代版画展オンラインギャラリー


CWAJ創立75周年記念特別展
「道を拓いた女性たちー篠田桃紅、吉田千鶴子、石見禮花、柳澤紀子、辰野登恵子」

CWAJとゆかりの深い女性巨匠たちの入手困難な作品を集めた貴重な企画展を2つの会場で開催いたします。それぞれ異なる作品を展示しますので、ぜひ2カ所ともご高覧ください。

日時:2024年10月8日(火)〜11月5日(火)
場所:Frederick Harris Gallery(東京都港区麻布台2-1-2 東京アメリカンクラブ内)
アクセス:地下鉄日比谷線「神谷町駅」“出口2”より、三田方向に徒歩約7分 / 地下鉄大江戸線「赤羽橋駅」“赤羽橋口”より、銀座方面に桜田通り(国道1号線)を徒歩約8分

日時:2024年10月16日(水)〜10月20日(日)12:00〜18:00(CWAJ現代版画展と同時開催)
場所:代官山ヒルサイドフォーラム(東京都渋谷区猿楽町18-8 ヒルサイドテラスF棟)

10月の展示のお知らせ①

モノクローム展 2024

モノクローム展 2024 無彩色の芸術
ギャラリー国立で開催される「モノクローム展 2024」に参加させていただきます。いつも面白い企画展をされていて、いつか参加できたらと思っていたギャラリーです。ほとんどの作品をモノクロで制作してきた者として、これ以上ない企画展です。
ギャラリーのYoutubeチャンネルでも展示の様子などご覧いただけます!お近くにお越しの際は、ぜひ実物もご覧いただけたら幸いです。

出品作品:'Liqueur glasses'

日時:2024年10月3日(木)〜10月8日(火)12:00〜19:00 (最終日16:00まで)
場所:ギャラリー国立 (東京都国立市中1-9-18 NTC高橋ビル1F2F)
アクセス:JR国立駅 下車徒歩3分
公式サイト:ギャラリー国立
instagram:@gallery_kunitachi
Youtubeチャンネル:ギャラリー国立 Gallery Kunitachi

harvesting

'harvesting'

'harvesting'

胡桃や栗や色々な種類の松ぼっくり。
いつもバックにはビニール袋を入れていて、道で気になったものを拾っては持ち帰ります。虫が中で暮らしているとお互いびっくりなので、しばらく外で様子を見ます。「実」というような雰囲気のタイトルにしようと思っていましたが、実ではなものもあるし、じゃあ何なのかと調べてもよく分からないので、秋の収穫というような感じで雑にふわっとしたタイトルにしました。

今回初めて「北方グリーン」という和紙を使用しました。いつも使っている雁皮紙よりかなりしっかり厚みはあるのですが、単体でプレスするのは不安だったので、雁皮刷りのように刷り込んで使っています。台紙としたHahnemühle5761の黄色味強めナチュラルホワイトと良く合って、本当にきれいで爽やかで絶妙なグリーンが出てくれました。画像でこの色味を上手くお伝えできるように、写真を工夫したいのですがなかなか難しい...。和紙については改めて来月に新ページを公開予定です。

(作品サイズ 18×18cm / エッチング、アクアチント、ドライポイント、和紙)

onlineshop — 銅版画 'harvesting'(額装)

'harvesting'(北方グリーン)

blocks

2024年9月版画ゆうびん''blocks

'block'
—a large solid piece of wood, stone, metal, etc
—a child's wooden or plastic toy brick
—a large building divided into separate rooms, flats or offices
—a group of buildings with streets on four sides: go for a walk around the block.
(OXFORD ADVANCED LEARNER'S DICTIONARY)

初めて広角のカメラを手にした時、その画面にびっくりして、画面の奥に線を伸ばし、直線を見付けては撮ることをずっとやっていました。新聞で福原信三の直線だけで構成された写真、「ヘルン旧居『松江風景』より」(1935年)を見てその時のことを思い出しました。それにしてもこれは確かに直線だけなのに、なんて柔らかくてしっとりしているのだろう。

定期的にパソコンが突然壊れてデータ全滅させてきたため、その頃の写真は残っておらず、記憶だけをずっと辿って色々な直線を思い出し繋げていきました。目の前にある物や景色だけではなく、映画で見た俯瞰の街区まで。そのままぴったりな単語 'block' をタイトルに、いくつか作っていきたいと思っています。

日本経済新聞 2022年5月19日 1930年代日本の風景写真(2)ー福原信三「ヘルン旧居『松江風景』より」
日本写真会 福原信三(創設者)

(作品サイズ 3.5×5cm / アクアチント、雁皮刷り)
onlineshop — 版画ゆうびん no.28 'blocks'(銅版画)

2024年9月版画ゆうびん''blocks
新聞切り抜き

展示のお知らせ

第3回PURO ART AWARD入選作品展

第3回PURO ART AWARD入選作品展

昨年に引き続き入選作品に選んでいただきました。下記の通り作品展が開催されます。横浜にお出掛けの際はぜひお立ち寄りください。昨年レセプションに参加し、明るくて広々としていてとても良い空間だなと思いました。すてきな作品がたくさんあって楽しかったので、また今年も参加できてとても嬉しいです。

出品作品:'Liqueur glass #1'

日時:2024年9月8日(日)〜9月22日(日)10:00〜19:00(最終日17:00まで)
場所:FEI ART MUSEUM YOKOHAMA(神奈川県横浜市神奈川区鶴屋町3-33-2鶴屋町ビル1F)
アクセス:JR横浜駅下車 横浜駅西口地下街「南12番出口」を出て左、高速道路をくぐり「鶴屋町3丁目交差点」前方左角
公式サイト:第3回PURO ART AWARD入選作品展

布プリント

ボタン柄ぺたんこフラットポーチ

ずっと作りたかった布物が完成しました。

当初銅版で刷るつもりで色々実験していたのですが、色落ち色移りの問題が解決できず、スクリーンプリントを使うことにしました。自分の大好きな柄がきれいに布にプリントできた時は、とても嬉しかったです。今のところボタン柄とステッチ柄だけですが、他にもできたら良いなと試行錯誤中です。

形の種類としてはぺたんこフラットポーチのみです。一番シンプルで小さなバックでも嵩張らないというのもあるのですが、中に綿が入っていなくてマチもない、ぺちゃんこペラペラポーチが私の憧れで、大好きであるというのが一番の理由です。

ずっと昔、妹と行ったヨーロッパのどこかのカフェのテーブルで、彼女が無造作に取り出してカチャと置いた綿の薄いポーチが、すごくおしゃれですてきで、ずっと記憶に残っています。とは言っても柄や色をはっきりとは覚えておらず、ハギレでささっと作ったようなシンプルで形を持たない形状や質感が、私には感動的でした。ポーチとは中に入れているものを守るものだと思って、がっしりしたものしか使っていなかった私にとって新しい出会いでしたし、異国の風景にすっかり溶け込んだかっこ良すぎる妹への憧れと相まって、だったのだと思います。

その憧れに忠実に作るとすると、ごく薄いコットン生地を使わないといけないのですが、きっとあの時のポーチも最初はもう少ししっかりしていたものが、使い込まれてかっこ良くなったのだと思います。刷る時の安定性も考えて、薄手ながら少しパリッとした綿の生地を使用しました。インクは布に定着し色落ちしないものを使っていますので、安心して洗濯もしていただけます。裏地は同じ種類の布の黒色。しばらくこのほんのり生成りの生地に黒インクプリント、黒裏地で作っていこうと思っています。

ボタン柄ぺたんこフラットポーチ
ボタン柄ぺたんこフラットポーチ
ステッチ柄ぺたんこフラットポーチ
ステッチ柄ぺたんこフラットポーチ

Sunflower

'Sunflower

'Sunflower'
ーキク科ヒマワリ属の一年草。原産地の北アメリカでは、ネイティブアメリカンの大切な食物として紀元前から栽培されてきたが、16世紀にスペイン人がアメリカ大陸から持ち帰ると、観賞用として栽培されるようになった。メキシコやペルーでは太陽神の象徴とされている。形が太陽に似ていることに由来して 'Sunflower' と呼ばれている。

ああでもないこうでもないとやっているうちに、すっかり季節が終わってしまいました。
夏真っ盛りのある日に花屋さんに行って、元気にパカっと咲いているひまわりを見て少しびっくりしてしまいました。外を歩いていて見られるひまわりは、ちょっとくたっとしていて、それが私にとっての普通のひまわりで、多分その姿が好きなので、あまりのシャキッと感に後ずさってしまいました。

今年の夏は去年より、8月の中旬くらいから一日一日季節が進んでいるのが感じられ、夏の帽子の版画を作った時 (2024年7月30日の記事) と同じように、完成の形が日々変わっていきました。黒がかなり強めで、太陽に透かすと切り絵のようにも見えてきます。お花の版画を連続して作ってきましたが、今までと雰囲気の違うものができたかなと思います。空気を感じながら作るのはとても楽しいです。

(作品サイズ: 12×12cm / エッチング、アクアチント、雁皮刷り)

onlineshop — 銅版画 'Sunflower'(額装)

'Sunflower'

カーボランダム

カーボランダム

久しぶりに新しい技法の紹介のページを作りました。「その他の技法ー カーボランダム

「カーボランダム (Carborundum)」という言葉自体、研磨剤に使われる炭化ケイ素の結晶を指しますが、それを用いたコラグラフ技法のことをカーボランダムと呼んでいます。アクリル画で使用するメディウムやボンドで銅板や樹脂板に描画し、そこに炭化ケイ素の粉末を密着させて、ザラザラの面を作ります。そこにインクを詰めてプレス機で刷ると、アクアチントのような黒い面を作ることができます。

制作工程のページで「方法1. 金剛砂を混ぜて描く」としてご紹介している、あらかじめメディウムに粉末を混ぜて描画する方法の方が、版のもちが良いような気がして私はこちらの方法をおすすめしています。アクアチントは松ヤニや火を使うので大変ですが、この方法はもっとシンプルに面表現を楽しむことができます。

使うメディウムの種類によっても、また粉末の粒子のサイズによってもトーンを変えることができるので、かなり幅広い表現ができると思います。注意点は、よく乾かすこと!盛りすぎないこと! 盛ってしまうと紙が破けたり、プレス機のフェルトやローラーまで傷付けかねないので、ぜひお気を付けください。耐久性については、私はまだそんなにたくさん刷れるという感覚を持っていません。

銅版画は凹部を作っていく版種ですが、これは凸部を作る作業になります。凹版画ばかり作ってきたもので、なかなか慣れるのに時間がかかりそうです。どうしてもメディウムと版の境目、エッジのインクの処理が難しい。一つの版の上に凹部と凸部があると、凹部だけより当然高低差が大きくなるので、そこを考えながら作るというのが私にとってまだまだ大変です。

これはこれで使いこなせるようになりたいなと思いつつ、さらに色々と調べていると、凸として作ったものを凹に変換できるのでは...とても面白い論文に出会いました。
詳しくはまた制作工程のページを作れるくらい自分で習作をしてからにしたいと思います。まだ時間がかかると思うので、今回はリンクを貼らせていただきます。紙版画の技法について論文だけではなく、動画もたくさん掲載されていて、参考にさせていただいています。とても楽しいサイトです。ご覧になってみてください。

紙版画研究室 愛知産業大学通信教育部 山口雅英先生


Sea Holly

'Sea Holly'

'Eryngium エリンジウム (エリンジューム)'
ーヨーロッパ、中央アジア、南北アメリカ原産セリ科エリンジウム属。球状に小花が集まり、その周りを囲むように棘のある苞が広がる。「Eryngimu(エリンジウム)」はギリシャ語で棘のあるという意味を持つ「Eryggion (エリギオン)」に由来する。
海に近い場所に繁殖していることと 、棘のある葉が柊 (Holly) と似ていることから英名では 'Sea Holly' と呼ばれている。 また、花の形が「マツカサ(まつぼっくり)」や「アザミ」に似ていることから、和名ではそれらを組み合わせて「松毬薊(マツカサアザミ)」と呼ばれている。

パリジェンヌみたいな友達が個展の際にくれたおしゃれな花束に入っていたエリンジウム。今まで版画にしてきた「globe thistle ルリタマアザミ」のとげとげ感のある花 (2023年8月23日の記事)と、「Devil in the bush ニゲラ」(2024年7月3日の記事) の花を包む葉っぱの様子、両方の好きなところが入っていて、私はこういう植物が大好きなんだなと思いました。ニゲラのとげとげに見える葉っぱは、実際はとても柔らかいのですが、エリンジウムのとげとげした葉っぱは硬く、ちゃんとした棘もあって触ると痛いです。その硬質さが銅版画にとてもよく合っていて、出来上がりを見て嬉しくなりました。

ルリタマアザミのようにポンポン部分 (小花の集まり) が丸いもの、まつぼっくりそのままのような形のもの、ギザギザした葉っぱがワシワシ広がって花を包んでいるもの、葉っぱが控えめなもの。色も青の鮮やかなもの、白に近いもの。エリンジウムにもたくさんの種類があるようです。暑さにそこまで強くないということで、日本の夏では栽培が厳しいそうですが、小屋の横にたくさん咲かせられたらと、想像してうっとりしています。

(作品サイズ: 12×12cm / エッチング、アクアチント、雁皮刷り)

onlineshop — 銅版画 'Sea Holly'(額装)

'sun hat#4 summer greetings'

蝉か雨か

sun hat#4

この数年、毎年作っている夏の帽子。今年は大きなリボンの付いた帽子。前を歩く人の、大胆でお洒落な帽子です。
今年は途中ずいぶん迷って、二度ほど作り直しました。版ができた後も、使用する紙と雁皮紙の組み合わせで迷いに迷い、でも完成してみると、うん!これだ!と思える作品になりました。

これまでの3つの帽子が迷いなく完成したのは、どの帽子も屋内の一点に置かれた動かない帽子だったからではないかと思いました。今回は屋外にある動く帽子。帽子の向こうに晴れた空、響き渡る蝉の声を想像しながら作るのか、空気を切り裂くような雷の音と、雨によって湿って香る麦わらの匂いを感じながら作るか、完成の形はまったく変わってくるように思いました。
最初に決めていなかったわけではないのですが、その日その日作業している日の状況にはやはり影響を受けてしまいます。

また明日考えようと一日置いたら、天候が変わって昨日と全然違う結論になり、もう一度先延ばしにしてみたらどうなるのだろうと興味が湧いて、数日また寝かせる。面白がってそんなことをしている間に本当の迷宮に入りかけてしまいましたが、とても面白い制作過程となりました。

過去3年間の帽子の記事ー2023年8月5日の記事2022年8月17日の記事2021年7月19日の記事

(作品サイズ: 18×18cm / エッチング、アクアチント、雁皮刷り)
onlineshop — 銅版画 'sun hat #4'(額装)

'sun hat#4 summer greetings'