昔、ヨーロッパのある国で陶芸制作をされていた方が教えてくれました。
「あちらでは花を買うように版画を買う。普通のお店、文房具屋さんのようなところにも版画が置いてあって、日常のこととして何気なく買っていく。誰かに贈るためだったり、自分の部屋に飾るために。」

一つの版で複数枚刷ることができる版画ならではなのかもしれません。刷る作業をしていても、同じ絵柄が繰り返しプレス機から出てくる様子はとても楽しいです。刷った数の分だけ誰かのもとへいくと思うとまたわくわくします。
自分でどこかへ出掛けて探して出会う版画はもちろんいいもの。もし思いがけず届く「手紙」というものの中から一枚の版画が出てきたら、全然違う喜びがあるかもしれない。それがどんなものなのか、思いをめぐらせながら作っています。

2007年「森のフローラ」という物語をいただき、それを版画にしたのをきっかけに制作活動を始めました。最初はゴム版画で作っていました。初めて出展したイベントで出会ったすてきな版画家さんに銅版画を教えていただき、すっかり魅了され夢中になり、銅版画での作品制作を続けています。