とても美しい額に出会いました。漆喰の白壁のような、イタリアのどこかの島の家々の壁のような不思議な肌の感じにゴールドの縁。写真で上手く伝えられていないのですが、表面が平らではなく緩やかなぼこぼこがある、木製とは思えない不思議な形状なのです。お店で見つけた時は少し手が震えました。ちょっとはまり過ぎかなーと迷いましたが、ゴールドのインクを使って刷った'shells'を入れました。
下の写真の3枚目、手前にある黒っぽい額もシルバーや濃いブルーやグレーが入っているような微妙な色合いが素晴らしい額です。
人の目に触れてはじめて『作品』と思っているので、出品や展示の機会は一つ一つ本当に大切で、額装は見ていただくための最後の大事な作業です。ただ版画を作る時の細かさと全然違う、私の苦手な器用さが必要になるのでいつも苦労します。金具を締めた瞬間に入り込む塵、何なんですかね。
2021年に続き道ギャラリーで個展をさせていただくこととなりました。通常の額装作品とミニ額もできるだけたくさん展示したいと思っています。21種類に増えた版画ゆうびんのための小さな版画も、すべてご覧いただけるように準備しています。
秋の連休の本当に良い時期に割り当てていただきました。どうぞ鎌倉散策にお出掛けの際はお立ち寄りください。
期間:10月5日(木)〜10日(火)11:00〜17:00(期間中休廊なし)
場所:道ギャラリー(鎌倉市雪の下1-9-24小池ビル1F)
アクセス:JR鎌倉駅下車徒歩8分。若宮大路沿いにある小池ビルのエントランスを入って、突き当たり左手にあります。
FEI PURO ART AWARD 入選作品展
日時:2023年9月9日(土)〜24日(日)10:00〜19:00(月曜休廊・最終日17:00まで)
場所:FEI ART MUSEUM YOKOHAMA(神奈川県横浜市神奈川区鶴屋町3-33-2 横浜鶴屋町ビル1F Google Map)
出品作品:'balcony#5'
公式サイト:FEI PURO ART AWARD 入選作品展
アワガミ国際ミニプリント展2023
日時:2023年10月7日(土)〜11月12日(日)9:00〜17:00(月曜休館)
場所:阿波和紙伝統産業会館、いんべアートスペース(徳島県吉野川市山川町川東141 Google Map)
共通入場料:一般300円、学生200円、小中学生150円
出品作品:'sun hat#2'(賞候補), 'Reindeer Christmas Wreath'
公式サイト:アワガミ国際ミニプリント展2023
たけだりょう銅版画展
日時:2023年10月5日(木)〜10月10日(水)11:00〜17:00(期間中休廊なし)
場所:道ギャラリー(神奈川県鎌倉市雪ノ下1-9-24小池ビル1F)
公式サイト:道ギャラリー
制作工程のページに銅版画で使用する紙のページを作っているのですが、少し時間がかかりそうなので、私が自分用にも教室用にも使っているハーネミューレとキャンソンエディションの色の種類を、ひとまずこちらに掲載したいと思います。できる限り見たままの色になるように撮影していますが、どうしても再現できていないところもあります。ご了承ください。何かの参考になれば幸いです。
サンプルくらいのサイズで比べて見てみると大した差ではないものも、作品としてある程度の大きさの紙として使うと雰囲気が全然違ったりします。一枚ずつ買って試してみると良いかなと思います。
銅版画で使用する紙は、「ハーネミューレ」「BFKリーブ」「ベランアルシュ」「アルデバラン」「ニューブレダン」「いづみN」「キャンソンエディション」などがあります。細かい線に最適なもの、多色刷りに適しているもの、雁皮刷りに適したもの、それぞれ特徴があります。詳細は後日制作工程のページに更新する予定です。
ハーネミューレ (Hahnemühle)(上写真)
HA5734:ナチュラルホワイト。150g/m²。他のナチュラルホワイトより白さを感じます。厚みはかなり薄いです。
HA5735:ナチュラルホワイト。300g/m²
HA5737:クリーム。300g/m²。写真より、より黄色味の強いクリーム色に思います。
HA5745:ホワイト。300g/m²。はっきりした白です。
HA5760:ナチュラルホワイト。300g/m²。他のナチュラルホワイトよりほんの少し黄色味があるように思います。
HA5761:ナチュラルホワイト。300g/m²。HA5735と同じ厚みで色もほとんど同じですが、こちらの方が「にじみ止め加工」が強く多色刷りに向いているそうです。HA5735の方がほんの少し白が強いように思います。
紙の上辺にロゴマークの鶏、下辺に「HAHNEMUHLE」のウォーターマーク(透かし)が入っています。この文字が正しく読める方が紙の表側ということらしいのですが、私は正しく読める方が裏と教わり、今もそのように使っています。私と同じように使われている方もいるし、そうじゃない方もいるという感じがします。
キャンソンエディション (Canson Edition)
色紙を使いたいと思った時に、こんなに良い紙はなかったのですが、ホワイトとアンティークホワイト以外は現在販売していないようです。
現在購入できるのは、ホワイトの320g/m²(下写真一番右)と250g/m²(右から2番目)、アンティークホワイト(250g/m²)(右から3番目)です。
アンティークホワイトは、サンプルくらいの小さな紙単体では、白と並べると違いが分かるかな〜くらいの限りなく白に近い軽い明るい、「アンティーク」風のほんの少しベージュを匂わせたようなホワイト。ただ大きめの作品を刷ってみると、真っ白との違いが分かります。雰囲気がずいぶん変わる、他にはない貴重な色の紙だと思います。
'shells'
毎日のように35℃を超えるような夏になってから、極力外出を控えるのが夏の過ごし方になってしまい、当然海にもすっかり行かなくなってしまいました。気温が落ち着いて、浜辺が静かになった頃に貝集めに行きたいなと思いながら版画にしました。
今もまだまだ暑いですが、それでもちゃんと季節って進むんだなと思えるような風を、たまに感じられるようになってきました。夏が終わる寂しさみたいなものが昔はありましたが、最近は心底ほっとします。暑さ辛すぎです。
これまで年に4回の版画ゆうびんでしたが、もう少し頻度を上げて制作していきたいなと思っています。季節を感じるものもそうじゃないものも、色々作ってご紹介してまいりますので、お手に取っていただけたら幸いです。
'globe thistle'
ーany of various plants of the genus Echinops having prickly leaves and dense globose heads of bluish flowers.
棘のある葉と青みがかった花が密に集まった球形の頭花を持つヒコダイ属の各種の植物の総称。(英ナビ!辞書)
日本語では瑠璃玉薊(ルリタマアザミ)。この花の名前が思い出せず、「とげとげ 花」と検索したら一発で出てきたので、すごい時代だなと改めてびっくりしました。漢字もまた美しい。
辞書を見ていると面白くて、'thistle'=アザミはスコットランドの国花で、「内側の苞(ほう)が悪天候などの前に自然と閉じるところからヨーロッパでは天候予知のため門口に植える」(GENIUS英和辞典)のだそうです。
' グミの実 ' の版画に一部銀色のインクを使ってから、その方法が気に入ってしまい、今回は金色に少し濃い目のセピアを混ぜた色を、一番右の一輪にだけ使いました。
私の勝手なイメージ、お洒落の代表イチジク。これを版画にできたら。このふわふわした実をどう版画にできるだろうかとずっと考えています。実物に触れられる機会が少ないので、来年以降に持ち越しです。