月桃

2024年1月の版画ゆうびん「月桃」

'月桃'(げっとう)
ー沖縄や奄美大島、台湾などの温暖な地域に群生するショウガ科の植物。名前の由来は台湾の現地語で「ゲイタオ」と発音しているものに「月桃」と当て字をした説や、葉が三日月の形をしていて花が桃の実に似ているからという説などがある。沖縄では「サンニン」、大東島や八丈島では「ソウカ」、小笠原諸島では「ハナソウカ」とも呼ぶ。英名は'Shell ginger'。

昨年の個展の際、たくさんのお花をいただきました。秋という季節柄なのかそれぞれにきれいな「実」が入っていました。その中から今回は「月桃」を版画にしました。
色々無知を晒してお恥ずかしいですが、私はこの実についてもまったく知りませんでした。'globe thistle' ルリタマアザミを作った時にも名前が分からず「とげとげの花」で検索したら出てきた話を書きましたが、今回はなんと「紐で縛ったような形の実」で出てくるというミラクル。googleがすごいというより、そういうワードで書いていてくれた方がすごい。質感が八角に似てるような気がする、なんてところからも攻めたのですがダメでした。そりゃそうだ。

毎度同じようなことを言っていますが、月に桃なんて夢のように美しい名称。どうでも良い話ですが、どちらも自分の名前に入っていたら嬉しかった漢字。今回のタイトルは英名Shell gingerではなく月桃にしました。
いただいたお花はドライにできるものはドライにして、飾ったり観察したりして楽しんでいます。本当にありがとうございました。他にも版画にしたいものがあるのでまた取り掛かりたいと思います。

(版画のサイズ 4.5×4.5cm / エッチング、アクアチント、雁皮刷り)

実の写真①
実の写真②

dessert dish(es)

大正から昭和に作られたプレス成型によるグラスが大好きでまたたくさん並べました。一つのグラスを色々な角度で色々な光の下で。
かき氷を盛るために作られ「氷コップ」と呼ばれています。このガラスの中にかき氷なんて夢のような光景だし、「氷コップ」なんてうっとりするような名称。

海外の公募展に出品する際に英訳で悩みたくないというのが始まりで、タイトルは意味を込めない極力シンプルなものにするのが私の勝手な決まり事になっています。多分それだけ言葉にもこだわってしまうということで、今回も「氷コップ」の響きの美しさは他に変えられない!とまで思い入れてしまったのでタイトルには使わず、'dessert dish(es)'にしました。...もう少し親切に伝えようと思うとvintageとかglassという単語を入れないといけない気もするのですが...タイトル書くスペースも狭いしなんて雑な理由で...そこ削ってしまった良かったのかな。
他にも色々呼び方があるようで、'ice cream dish(cup)'、'sherbet glass'、'sundae cup(bowl)' なんていうものがありました。シャーベットもきれい。

背景を水彩っぽいグレーにするのが今年の私の流行りになりそうです。(写真が小さくて細部がお伝えできていないかもしれずごめんなさい。トップページのトップ画像をこれに変えていますので、よろしければご覧ください。来月には作品一覧に掲載します。)

'dessert dishes'(写真上)36.5×40cm(額サイズ60角) / エッチング、アクアチント、雁皮刷り
'dessert dish#1'(写真下左もしくは一番目)9×9cm(額サイズ25角) / エッチング、アクアチント、雁皮刷り
'dessert dish#2'(写真下右もしくは二番目)9×9cm(額サイズ25角) / エッチング、アクアチント、雁皮刷り

覆う率

アクアチントcoverageチャート

アクアチントが上手くいかないなという時期があり、その時色々調べながらテストプレートを作ったので覚書として残しておこうと思います。(腐食液新品、気温5-10℃)

散布する松ヤニの量はどれくらいが適当なのか、動画やブログを上げてくれている世界中の版画家さんたちの手元と版をひたすら眺めていました。
そんな中で出会った一つのブログ記事。散布する量=松ヤニが版を覆う率(coverage)を変えながらチャートを作り丁寧に解説されていて、それがとても面白かったので、私もやってみることにしました。

時間差と重ねる回数で濃さを調節していくというチャートは私も作ったことがあるのですが(「アクアチントー腐食時間と重ねる回数」)、それは適切な散布量が前提となります。真っ黒の面を作ろうと思った時、私が適切と思っていた量はここに作った画像の「coverage80-90%」。それ以上の量を撒こうとしたことはあっても、それ以下、例えば「coverage 40-50%」=版面の半分くらいしか松ヤニで覆われていない状態で腐食しようと考えたこともありませんでした。

40-50%で腐食が長くなるとディープエッチングになってしまい、広く抜けてしまいます(上の画像のcoverage40-50%の10mがそれになりかけた状態。抜けを作りたい時にはこの量がきれい)。でも時間を調節して腐食するとアクアチント特有のポツポツとした孔が少なくより黒い面が得られました。

80-90%を数回繰り返せばきれいな面が作れます。多分それで良いんです。でもその繰り返しの際に散布量を変えることで、今までより深い黒の面ができたように感じました。ただその理屈がまだ上手く理解できていません。溝の形が複雑になったからなのか、と想像したりしていますが...。

ちなみにこの時上手くいかなかったのは腐食液が古過ぎたのも一因だったと思います。処理が大変なので新しい液を足すこともなく、長い長い時間使ってきてドロドロで、気温が下がった日には信じられないくらい腐食が遅い!そこから腐食の方法も変えたので、また後日そのことについて書きたいと思います。

アクアチント図説(coverage)

黒インク

銅版画インクシャルボネ黒3種類(台に出した状態)

ずいぶん前に制作工程に「黒インク」のページを作って加筆するようなことを言っていたのですが...

上の写真のように缶やチューブから出した段階での見た目は結構違うのですが、下の画像のように、黒い面が多くはない絵では刷った結果にそんなに違いがありません。並べて見ないと分からないし、少し暗いところで見ると並べても分からないし、そもそも並べ見たりしない!
私が楽しいということ以外に特に意味のない話になってきしてしまい、私自身も時間を使うならここじゃなかったかなという感想もあり、「黒インク」のページはこのまま終わりにしたいと思います。

顔料から調合すればその割合によって作品の雰囲気が大きく変わり、きっと作家性もすごく出るのだと思います。メゾチントや、アクアチントが画面の多くを占める作品では市販のインクでも使い分けたり、混ぜたりする意味は多いにあると思っています。ただ、そこまでこだわらなくても、販売されている完璧に完成されたインクを使えば、どんなものもきれいに仕上がるのだと思いました。使いやすさ拭き取りやすさで選ぶとしたら、55985以外ならどれでも、Carbon Blackは特に素晴らしく最強だと思います。...という感じです。

シャルボネ公式サイト(CHARBONNRL Intaglio Etching Ink)にきれいな色見本が掲載されています。

銅版画インクシャルボネ黒3種類(刷った結果)

紙を使って拭き取る

「基本の刷り前半ー紙を使って拭き取る」

制作工程「基本の刷り 前半」に「紙を使って拭き取る」を追加しました。

最後にインクの油分を拭き取る工程では紙を使用していましたが、寒冷紗だと上手くいかない場合は、最初から紙を使うと拭き取り過ぎてしまうことが少ないかなと思い、今回加筆しました。
一番使いやすかったタウンページも最近手に入れるのが難しくなったので、新聞紙やわら半紙を使っています。これでも十分スムーズに拭き取ることができます。意識することは寒冷紗と同じで、とにかく少しずつ少しずつ丁寧に根気よく。
写真とともに工程を掲載しましたので参考にしていただければ幸いです。想像以上にしわしわの手でお見苦しい限り。ご了承ください。

海外の作家さんがあげている動画など見ていると、特に松ヤニを使う際にしっかりしたマスクをしている方が多く、なんとなくのマスクでお茶を濁してた私も防塵マスク防毒マスクを使い始めました。これはこれで使用上の注意がありますが、圧倒的に快適。特に大量の黒ニスを使用する場合など、頭痛や吐き気なく作業ができます。没頭するとつい忘れがちな健康。第一。早い段階からぜひ使ってください。

防塵防毒マスク

クリスマスクーポン

2023年iichiクリスマスクーポン

「ハンドメイド・クラフト・手仕事の通販iichi」の年内最後の期間限定クーポン企画が実施されます。期間は12月22日(金)〜24日(日)の3日間。3,000円以上(税込)のお買い物で7%割引(割引上限額 1,000円)となります。お正月のお買い物などにご活用ください。

ご利用について
期間:12月22日(金)〜12月24日(日)
※iichiに会員登録されている全てのお客さま、新規会員登録されたお客さまが対象です。
※クーポンを使用せずにお支払いを完了したお取引に、後から割引を適用させることはできません。
※1度のみご利用いただけます。

Ice Skaters

2023年冬の版画ゆうびん'Ice Skating Boy'
2023年冬の版画ゆうびん'Ice Skating Girl'

'Ice Skating Girl' and 'Ice Skating Boy'

スケーターズワルツにのせて、もみの木の周りを3人の子どもがスケートでくるくると回るかわいい木製のオルゴールから、今回は2つの人形を版画にしました。もう30年以上前、西ドイツ出張のお土産にもらったものです。

物を投げ合う姉妹喧嘩の流れ弾に度々当たり、人形ももみの木も折れ、瞬間接着剤で修理された跡が残ります。折れて付けたところがまた折れての繰り返しだったので、人形たちは全員体が傾いでしまっていて、くるくる回る途中、もみの木にパンチをするような形で腕が引っかかりしばしば動きが止まります。
本当にかわいくて素敵なオルゴールなのですが、激しい姉妹喧嘩、ほとんどは私が妹たちを震撼させていた日々が思い出されてしまうオルゴールです。本当に申し訳ない。もう一体の女の子の人形もちゃんといるので、追々版画にしたいと思います。

昔々、鎌倉の小町通り入ってすぐ辺りのビルの2階にクリスマスツリーやオーナメント専門のお店があって、年に1回2回連れてきてもらって1つ2つ買ってもらうのが楽しみでした。その時のオーナメントの数々を今でもクリスマスに飾ります。一年で一番ワクワクする大好きな季節に、今年もクリスマスの版画が作れたことを幸せに思います。
(このお店の名前は「プリンツヒェンガルテン(PrinzchenGarten)」鎌倉店。閉店したのは2007年だそうです。ブログに残してくださった方々、ありがとうございます。ほんとすごいなインターネット。)

Ice Skating Girl 版画のサイズ 5.5×9cm / エッチング、アクアチント、雁皮刷り
Ice Skating Boy 版画のサイズ 5.5×8.7cm / エッチング、アクアチント、雁皮刷り

2023年冬の版画ゆうびん'Ice Skating Dolls'