銅版画で使用する紙についてのページです。価格の例は2024年4月現在の税込価格です。撮影の都合上、ウォーターマークの文字が反転した状態の画像が時々出てきますが特に意味はありません。撮影日の光の状態など近づけていますが、実物とは違うなと思うものもあります。お使いのモニターによっても違うと思いますので、その点ご了承ください。小判で販売されているものもありますので、一度手に取って見ていただけると面白いかなと思います。
・ドイツ ハーネミューレ社製
・特徴:プレス機への耐圧性があり、油性インキとの相性も良く、銅版画に適している。中性紙。
・色の種類:ナチュラルホワイト、クリーム、ホワイト
・厚さの種類:150g、230g、300g/m²
・サイズの種類:HA5745は560×780mm(中判)、それ以外は780×1060mm(特大判)
・ウォーターマーク:「HAHNEMUHLE」
・価格の例:HA5761特大判 5枚組 ¥9,075(税込) (画材屋さん.com)
HA5734:ナチュラルホワイト。150g/m²
HA5735:ナチュラルホワイト。300g/m²
HA5737:クリーム。300g/m²。黄色味強めのクリーム色に思います。
HA5745:ホワイト。300g/m²。はっきりした白です。
HA5760:ナチュラルホワイト。230g/m²。他のナチュラルホワイトより少し黄色味があるように思います。
HA5761:ナチュラルホワイト。300g/m²。HA5735と同じ厚みで色もほとんど同じですが、こちらの方が「にじみ止め加工」が強く多色刷りに向いているそうです。
紙の上辺に鶏のマーク、下辺に「HAHNEMUHLE」の文字のウォーターマークに(透かし)が入っており、この文字が正しく読み取れる面が表と言われています。実は私は文字が反転している方が表と教わって今もそれで使っていて、そのように使っている方もいれば、逆の方もいるという感じがしています。
多くの紙同様おそらくウォーターマークを正しく読める方が表なのだと思います。でもそれが裏だとしている人がそこそこいるというのは、何かそれなりの理由や背景があるのではないかと考えてしまいます。私はウォーターマークが正しく読める方ではない側がふかふかしているような感じで好きなのですが、このページを作りながら「裏なのかも」と思うと微妙な気持ちになっています。日常で使う紙で考えてみたら、裏って書きにくいし使いにくい。表を表として使うのが良いだろうと今は考えています。
・フランス アルジョマリー社製
・特徴:リトグラフや銅版画に適している。弱アルカリ性。
・色の種類:ホワイト、クリーム、グレー、タン
・厚さの種類:250g、270g、280g、300g/m²
・サイズの種類:小判(500×650mm)、中判(560×760mm)、大判(900×630mm)、特大判(750×1050mm)、特々大判(800×1200mm)
・ウォーターマーク:「BFK RIVES」
・価格の例:特大判 ¥3,960 (画材屋さん.com)
・フランス アルジョマリー社製
・特徴:弱アルカリ性。リトグラフや銅版画に適している。他の版画用紙に比べて表面のきめが荒目で厚みがある。
・色の種類:ナチュラルホワイト、クリーム、ブラック
・厚さの種類:160g,200g,250g,270g,300g,400g/m²
・サイズの種類:小判(500×650mm)、中判(560×760mm)、大判(900×630mm)、特大判(750×1050mm)、特々大判(1200×800mm)
・ウォーターマーク:「ARCHES」
・価格の例:270g特大判1枚 ¥3,960 (画箋堂 materie)
・フランス キャンソン社製
・色の種類:ホワイト、アンティークホワイト
・厚さの種類:250g、320g/m²
・サイズの種類:560×760mm、760×1120mm
・価格の例:760×1120mm ホワイト(250g) 3枚組 ¥4,290 (画材屋さん.com)
ー参照 CANSON official
(以前はブラックやグレーなど豊富に色がありましたが、現在販売されているのはホワイトとアンティークホワイトのみのようです。)
・日本 TTトレーディング
・特徴:水に濡らしても寸法変化が少なく、表面強度に優れる。開封後の変色が少なく、防カビ処理を施した中性紙で、作品の長期保存に適している。「いづみ」から「いづみN」へのリニューアル。
・色の種類:ホワイト
・厚さの種類:250g/m²
・サイズの種類:560×760mm、900×630mm、1120×760mm
・ウォーターマーク:「IZUMI NIPPON」
・価格の例:1120×760mm 1枚 ¥1,309 (画箋堂 materie)
・日本 ミューズ社製
・特徴:弾力性と柔らかい風合いで、細めの紙肌を持つ高級版画用紙。特に銅版画に優れている。表面強度が水彩紙に比べて弱いため、マスキングには注意が必要。
・色の種類:ホワイト
・厚さの種類:233g/m²
・サイズの種類:小判(500×650mm)、大判(788×1091mm)
・ウォーターマーク:「N-BRESDIN JAPON」
・価格の例:大判1枚 ¥880 (画箋堂 materie)
ー参照 muse公式サイト
・日本 オリオン社製
・特徴:紙肌、色調、弾力のそれぞれに優れた特徴と特性を兼備させた中性の版画用紙。弾力に優れ細かい線まで表現できる。エッチング、リトグラフに適している。
・色の種類:ホワイト
・厚さの種類:250g/m²
・サイズの種類:小判(650×500mm)、中判(760×560mm)、大判(1120×760mm)
・価格の例:大判1枚 ¥693 (造ハウ.com)
・イタリア ファブリアーノ社製
・特徴:表面のきめが他の版画用紙よりも比較的細かい。国際標準規格ISO9706に準拠した高い保存性を持つ中性紙。
・色の種類:ホワイト、アイボリー
・厚さの種類:220g、285g/m²
・サイズの種類:1000×700mm
・ウォーターマーク:「FABRIANO」
・価格の例:285g/m² 5枚組 ¥6,325 (画材屋さん.com)
おすすめの技法書みみずくアートシリーズの「銅版画ノート」にある「紙による印刷効果の違い」(p82,83)が面白くて、いつかやってみたいと思っていました。今回使用したのは、ハーネミューレ5761(ナチュラルホワイト)と5745(ホワイト)、BFKリーブのホワイト、ベランアルシュのナチュラルホワイトとクリーム、キャンソンエディションのクリーム(現在入手不可)、いづみN、ニューブレダンの8種類です。
すべて13時間水で湿らせ、シャルボネール社のカーボンブラックを使って刷りました。雁皮刷りはしていません。
先に結論を。「銅版画ノート」ではアルシュ、BFK、ハーネミューレ、エンリコマヤーニ、それぞれの違いがとてもよく出ていたのですが、今回そうしたはっきりとした違いをお伝えできるような結果にはなりませんでした。多分線メインの絵だったら一本一本の線がどのくらいくっきりするのか、滲んだ感じになるのかがわかるのだと思います。下のようなほぼアクアチントの面メインの絵では、比べるほどの違いが出ませんでした。
刷り上がり以外の点でそれぞれ感じたことはありましたので、簡単に覚書として残したいと思います。
表面のふわふわ感、凹凸感が強いのは、強い順にハーネミューレ、アルシュ、BFK、キャンソンエディション。逆にそれがなくスムースなのがいづみNとニューブレダン。いづみNはスムースを通り越してつるつるした感じ。きれいなベタ塗り感を出せる、かなり特徴的な質感だと思いました。
紙の色合いの点では、ハーネミューレ5761(ナチュラルホワイト)はかなり黄みが強く、同じ「ナチュラルホワイト」という名前でも、アルシュは黄みはとても弱く極々薄く薄くピンク味、でも明かりの加減でグレーも感じるような唯一無二の美しさを感じました(訂正します。大きな紙で使うと結構ピンク味を強く感じました。かなり作品を選ぶ気がします。)。真っ白!なのはいづみNとBFK、ハーネミューレ5745は普通に白だなという感じです。
どの紙も刷りやすさは変わらないと思いました。よくハーネミューレは初心者向きと言われていますが、確かにこのふわふわした柔らかい繊維が溝にしっかり入り込むのだろうなというのが見た目でも指先でも感じられます。アルシュもそうした点で使いやすいかと思います。いづみNやニューブレダンはしっかり水で湿らせた方が使いやすいだろうなと思いました。
また何か思い付くことがありましたら加筆していきます。ここまでお読みいただきありがとうございました。(2024年4月)