ソフトグランドエッチング

ノントキシック版画技法におけるソフトグランドエッチングには、今のところ2つの方法があります。

1つ目は、「エッチング②」でご紹介した水性絵の具とメディウムを混ぜて作ったグランドを使う方法です。ハードグランドとして使用した時より加熱時間を短くすることで、ソフトグランドとして使うことができます。手順は「エッチング②」をご覧ください。

2つ目は、蜜蝋、松ヤニ、油性インク、ラードを使ってソフトグランドを作る方法です。こちらのページではこの方法をご紹介したいと思います。

ソフトグランドエッチングの道具と材料

ソフトグランドエッチングのための道具と材料

・蜜蝋 150g
・ラード 150g
・松ヤニ 75g
・サクラ版画絵具油性 500g

・計り
・乳鉢、乳棒
・熱しても大丈夫な容器
・ローラー
・ヘラ
・トレーシングペーパー
・鉛筆や筆など

グランドを作る

(1)上記の割合で材料を準備します。今回は1/25の量で作っています。まず乳鉢で松ヤニを細かく砕きます。
(2)蜜蝋を火にかけ溶かします。
(3)蜜蝋が完全に溶けたら、インクとラード、松ヤニを加えてよく混ぜます。すべてがきれいに混ざったら火から下ろします。密閉容器に入れておくと、いつでも使えます。

松ヤニを細かくする
蜜蝋を溶かす
ラードとインクと松ヤニを加える
全材料が混ざったところ

グランドを塗る・描画する・腐食する

(4)きれいに脱脂した版(「酸化膜の除去・脱脂」)を素手で触れる程度に温めます。
(5)版に適量のソフトグランドをのせ、ローラーでのばします。のばし終わったらウォーマーで少し温めると均一になります。
このグランドは冷ますと少し硬さのある練り状になりますが、温めるとすぐにさらさらした状態に戻ります。ウォーマーの上で温めながら塗ろうとすると滑ってしまうので、版を一度温めたら冷たい場所に移して塗っています。

版を温める
ソフトグランドをのせる
グランドをローラーでのばす

(6)15〜30分程度冷ましたら、トレーシングペーパーをかぶせ、鉛筆やクレヨンで描画します。指や筆でこすったり、筆で直接グランドをはがしたり色々な効果を出すことができます。(これまでの「ソフトグランドエッチング」と同じです。)
(7)タイマーをセットして腐食します。ソフトグランド自体そんなに強くないので、20〜30分で終わらせるようにしています。

描画する(ソフトグランド)
描画する(ソフトグランド)
描画する(ソフトグランド)
腐食する(ソフトグランド)

グランドを除去する

(8)腐食が終わったらグランドを除去します。温めるとさらっと拭き取れてしまうのが、このグランドのとても良いところです。ウォーマーで加熱し、柔らかいウエスで拭き取ります。残りは油やアルコールできれいにします。使用した道具もウォーマーやドライヤーで少し温めてから掃除をすると楽です。刷り方はこれまでと同じです。(「基本の刷り 前半」

描画する(ソフトグランド)
腐食する(ソフトグランド)
グランドを除去する

ノントキシック版画技法については下記のサイトや文献をもとにしています。

・北山銅版画室ウェブサイト
・マルニックス・エヴェラールト「もうそこまで来ている、版画の未来。」(2016)版画学会第45号
・湊七雄「ノントキシック版画技法の普及に向けたワークショップの開発」(2016) 版画学会第45号
・SHICHIO MINATO・湊七雄ウェブサイト Additional Notes「PRINTAMAKING WORKSHOP ARTIST'S GUIDE ノントキシック銅版画への誘い」追記事項