銅版画制作工程
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プレス機の圧がかかった時に紙が破れたり、フェルトを傷つけたりしないように、銅版の縁に傾斜をつけます。この削られた縁を「プレートマーク」と呼んでいます。プレートマークがついた版も売られています。
この作業は描画前でも後でも良いですが、腐食の過程で傷つくことがあります。試し刷りの時に紙が傷つかない程度に削っておき、最後にプレートマークを仕上げるのが良いと思います。
・鉄ヤスリ
・サンドペーパー
・バニッシャー
・オイル
お好みで
・クランプ、ガムテープ
(1)プレートマークの幅を決めて、ニードルなどで印をつけます。
(2)鉄ヤスリを斜めにして、傾斜30〜45度で削ります。ヤスリは押す時に削れます。大きな版の場合は、クランプやガムテープで机にしっかり固定するのがおすすめです。
(3)サンドペーパー(耐水ペーパーがおすすめです)を使って滑らかにしていきます。裏側にまくれができている場合は削っておきます。
(4)溝があると刷る時にインクが詰まって残ってしまうので、オイルを数滴つけてバニッシャーで磨きます。
プレートマークの幅や角度に決まりはありません。1mm以下の薄い銅板はフェルトや紙に負荷をかける心配も少ないので、プレートマークを作らなくても良いのです。
私にとって、実用性とは別に、プレートマークは画面を完結させるフレームとして欠かせないものになっています。刷り上がった時に紙にできる凹みが奥行きを出してくれているようにも感じます。
刷りの作業の際、版面のインクを拭き取った後、プレートマークをきれいに拭く作業がとても大事です。実用性以外の役割を見出していてもそうでなくても、画面を邪魔しないことが大切だと思っています。
(傾斜をつける作業によって)画面とマージン(余白)が現れる。正式には刷り上げた作品上のこの境界をプレートマーク、版に施した傾斜をビゾーと呼ぶが、現在の日本では、版の傾斜自体もプレートマークと呼ぶことが多い。プレートマークが美しい作品は、作者の画面への神経の行き届きを感じさせる。
ー『新版 版画』(武蔵野美術大学出版局)