銅版画制作工程
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雁皮紙(がんぴし)という薄い和紙を銅版と用紙の間に挟んで刷ることを「雁皮刷り」と言います。
雁皮紙は淡くなめらかで光沢があり、刷り上がりがとても美しくなります。薄く繊細な和紙が細かい絵柄をしっかり刷り取ってくれますので、特に細かく描き込んだエッチングやアクアチントに使うと効果を感じやすいと思います。
雁皮紙を刷り込んだ部分の光沢をお伝えできればと思い、横から撮影した上の画像を載せています。
雁皮紙も極薄のもの、少し厚みのあるもの、漂白された白、自然な生成り色の未晒、もっとはっきり色付けされたもの、いろいろな種類があって、作品によって使い分けています。制作する上では少し厚みのあるものが扱いやすく、練習に使っていました。(このページは2024年5月に改訂しています)
・雁皮紙
・皿
・糊
・霧吹き
・糊用の柔らかい刷毛
・少し硬めの刷毛
・ウエスやタオル
お好みで
・ゴムローラー
紙は水を含むと伸びます。プレス機に通すと更に伸びますので、特に薄い雁皮紙は版よりかなり小さめに切ります。よく伸びる方向とそうでない方向がありますので、紙を見ても分からないものは一度湿らせてみて、矢印を付けて管理するようにしています。
雁皮紙の厚みや性質、版のサイズ、プレートマークのサイズによって雁皮紙をどれくらいの大きさに切るかが変わってきます。サイズが決まったらプラスチック板などで型を作っておくと、均一に切っていくことができます。
糊を水でときます。刷毛ですくった時に連続してポタポタポタポタポタポタポタと落ちる感じ...と何となくの目安にしています。
とはいえ極端な濃度でなければ、そんなに失敗の元になるとは思っていません。塗り広げにくいくらいぼてぼてに濃くなければ、そんなに?と思うくらい薄くても付きます。
雁皮刷りが上手くいかない時に糊水の濃度に気が行きがちですが、意外と見落としているのが、紙の湿らせ具合であることが多いように思います。水分が多く紙に残っていると、プレスした際に水が染み出し、版の上の糊を薄めてしまい、雁皮紙が浮いてしまいます。特に一晩以上湿らせて水分が内側にしっかり入っているものは、しっとりしてるなーくらいのちょうど良い見た目(びしゃびしゃしていない)でも、刷る前に吸取紙を使って十分に水気を取っておくと良いと思います。逆に湿らせ足りず紙が硬いままだと、それはそれで雁皮紙が付きにくくなります。
また、雁皮紙が付きにくい紙もあるように思います。ハーネミューレであれば刷りやすく失敗も少ないと思います。上手くいかない時は、糊より紙の状態、もしくはインクの粘度について見直してみると良いかなと思います。
インクを詰め拭き取った版を用意します。(関連するページ「基本の刷り 前半」、「基本の刷り 後半」)この版に雁皮紙を密着させていきます。
(1)版面にほこりやごみがないか確認し、雁皮紙のつるつるした面(表)を版に付けてのせます。
(2)その上から水を吹きかけます。雁皮紙が動くくらい多めの方が調整しやすくなります。
(3)少しこしのある刷毛を使って空気と余分な水分を外に出しながら、和紙の位置をぴったりのところに動かし調整します。和紙の繊維が毛羽立ってしまわないよう、撫でるように動かします。中心から外側へ、対角線で動かしていくと失敗が少ないです。
(4)2、3箇所固定するイメージで、丸めた柔らかい布で表面を少しだけ押さえます。
(5)タオルを広げてのせ、手で押さえて水を拭き取ります。版が大きい場合など、ローラーを使うと均一にきれいに拭き取ることができます。
(1)水でといた糊を、毛の柔らかい刷毛で塗っていきます。この時も中心から外に向かって塗ると紙がずれにくく、きれいにのせられます。途中で雁皮紙がぐしゃぐしゃになってしまったら、剥がして版をきれいに拭き、インクを詰めるところから始めます。変に粘るとロクなことはないと私は思っています。
(2)先ほどと同じようにタオルを広げてのせ、手やローラーで押さえて余分な糊を拭き取ります。
(3)版を横から見ててらてらしている部分があれば、そこには糊が残っていますので、柔らかい布で押さえて拭き取ります。最後に縁についている水分を拭き取り、プレス機で刷ります。(関連するページ「基本の刷り 後半」)
(3)版を横から見ててらてらしている部分があると、そこは糊が残っていますので、柔らかい布丸めて押さえて取り除きます。最後に縁についている余分な糊を拭き取り、プレス機で刷ります。(関連するページ「基本の刷り 後半」)