銅版画制作工程
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グランドが十分に乾いたら、描画をしていきます。版画は反転して刷り上がります。特に文字など転写したい場合はトレーシングペーパーを使います。
・トレーシングペーパー
・鉛筆
・ニードル
グランドが厚かったり乾ききっていないとトレーシングペーパーがくっついてしまうので、よく乾燥させてから始めます。
(1)トレーシングペーパーに鉛筆で下絵を描きます。
(2)トレーシングペーパーをひっくり返して、鉛筆で描いた方を版面に付けて固定します。
(3)鉛筆で描いた線をさらに鉛筆でなぞります。最初に描いた鉛筆の粉がグランドに付き転写されます。あまり手で押さえてじっくり作業してしまうと、手の熱でグランドが柔らかくなり剥がれてしまうことがあります。
トレーシングペーパーに下絵を描き、描いた面を版面に付け、軽い圧でプレス機に通すと、鉛筆の粉が版面に付いて転写されます。これもグランドが厚かったり、乾ききっていなかったり、プレス機の圧が強すぎると剥がれてしまうことがあります。
ニードルを使って描画していきます。あまり力を入れず、グランドを剥がすように描きます。ニードルには先が三角や楕円形になっているものなど、色々な種類があります。
ここでも手の熱でグランドが柔らかくなって剥がれてしまわないよう、ウエスを当てたり、板を使ったり版面に直接手が付かないような工夫もあります。
描画が終わったら腐食液に入れて腐食をしていきます。版の縁、プレートマークなど、グランドが付いないところには筆で塗って乾かしておきます。次の工程 「腐食する」へ。
繰り返し出てくる「手の熱」。
ここまで書いておいて何ですが...私は剥がれたら剥がれたで良い、工程が刻まれるようで面白いと思っているので、描画する時は手と版の間にトレーシングペーパーをはさむだけで作業したり、最後あえて温めて剥がしたりもします。プレス機で転写する時に圧を強めになってしまった時も、ポツポツと剥がれます。3枚目の写真の作品の背景は、部分的に温めて剥がして作ったものです。
版を見ながら点描するのとは違う、思いがけない点(時々線)の出現が大好きです。最後刷るまでどうなっているのか分かりません。