銅版画制作工程
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18世紀中頃に発明された時から現在まで、アクアチントの材料には松ヤニが使われてきましたが、細かい粉末状にした松ヤニのじん肺のリスク、喘息や気管支炎を引き起こす危険性が近年指摘されるようになってきました。
しっかりと密閉した空間や換気設備の整った工房であればリスクは減らせますが、それでも空中に浮遊する細かい粉末を見ていると、体に良くないであろうことは容易に想像できますし、何かに替えられるならという思いはいつもありました。
このページで紹介するエアブラシを使った方法であれば、居住空間と近い場所で制作せざるを得ない作家、趣味で銅版画を楽しんでいる方でもこの美しいアクアチントを作品に取り入れることができるのではないかと思います。
ただ、ノントキシック技法すべてがそうですが、決して安全と言い切れるものではなく、ここで使用しているアクリル系の材料の危険性も指摘されています。あくまで現段階で松ヤニよりは毒性が低いものとしてご理解いただければと思います。今もノントキシック技法を研究する作家たちが試行錯誤をしています。また新しく良い方法が出てきたらご紹介していきたいと思います。
ノントキシック版画技法については下記のサイトや文献をもとにしています。
・北山銅版画室ウェブサイト
・マルニックス・エヴェラールト「もうそこまで来ている、版画の未来。」(2016)版画学会第45号
・湊七雄「ノントキシック版画技法の普及に向けたワークショップの開発」(2016) 版画学会第45号
・SHICHIO MINATO・湊七雄ウェブサイト Additional Notes「PRINTAMAKING WORKSHOP ARTIST'S GUIDE ノントキシック銅版画への誘い」追記事項
・エアブラシ
・アクリルインク
・マスク
・ダンボール
・新聞紙
・アルコール
・マスク
・エアブラシ洗浄液、道具
(1)版をしっかり脱脂します。(「酸化膜の除去・脱脂」)
(2)今回は写真で見やすくするため、一時的にスプレーブースを外していますが、段ボールなどで周囲をブースのように囲っていただくのが良いです。カップにアクリルインクを入れます。薄める時はペインティングメディウムなどを使います。
(3)ムラにならないよう吹き付けます。
(4)インクをよく乾かしたら、腐食します。(「腐食する」)
(5)腐食が終わったら、アクリルインクをアルコールで除去します。ここまでの工程を数度繰り返すことできれいな面が得られます。刷り方はこれまでと同じです。(「基本の刷り 前半」)
(6)次の吹き付けまで時間が空く場合は、エアブラシを洗浄しています。少し大変ですが、長く使うため、アクアチントを安定させるために定期的に細かく洗浄しています。塗装系のYoutubeなどで洗浄方法をあげてくださっているので、ご覧ください。
絵の具の量はどれくらいが良いのか、腐食時間はどれくらい必要かは、これまでの松ヤニを使った方法(「アクアチント—松ヤニ」)と同じように、サンプルを取っていきます。
溶剤の含有量を限りなく減らしたスプレーが出ていますが、それでも使用する版面が広いと臭いは気になりますし、使い続けるのはつらいなと私自身は思っています。ここでは一応載せておくけど、あまりおすすめはしないです。手軽な方法ではありますので、小さな作品を作る時に使うなど、使い分けの一つの手段としてお考えいただければと思います。
マスクは必ずしてください。
・リキテックス スプレーペイント
・マスク
・ダンボール
・新聞紙
・ノズルクリーナー
・替えのノズル
(1)版をしっかり脱脂します。(「酸化膜の除去・脱脂」)
(2)今回は分かりやすく撮影するために一時的にスプレーブースを外していますが、エアブラシより更に周囲に広がりやすいので段ボールなどで周囲をブースのように囲ってください。版を立てかけてスプレーをします。
(3)ウォーマーなどを使ってインクをよく乾かしたら、腐食します。
(4)腐食が終わったら、絵の具はアルコールで除去します。この工程を数度繰り返すことできれいな面が得られます。刷り方はこれまでと同じです。(「基本の刷り 前半」)
エアブラシ同様、長くきれいに吹き付けられるよう、ノズルクリーナーを使って常にきれいな状態を保っておくと、アクアチントが安定すると思います。ちなみにノズルにはスキニー、スタンダード、ファットとありますが、アクアチントに使うには特に違いはありません。
25〜30分の腐食を1回目のものと5回目のものです。まだ吹き付けが下手という問題が大きくありますので、ほんのご参考までに。スプレーから出てくる絵の具が面に着いた時の独特の形状、粒の形があるように思います。それが目立たなくなるまで、5回以上(10回近く)は重ねたいといった感じです。