銅版画制作工程
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エッチングはニードルで描画し「線」を作り出しますが、ディープエッチングでは広く銅の面を腐食させ「面」を表現することができます。
ただ「面」と言っても真っ黒になるのではなく、現れるのは黒い輪郭を持ったグレートーンです。下の図のように、出来上がった広い溝にインクを詰めても、拭き取るとインクがしっかり残るのはエッジの部分で、その他の部分には僅かに油膜が残りグレートーンとなります。
真っ黒の「面」を作りたい場合は、エッチングやドライポイントでハッチングをしたり、松ヤニを使った「アクアチント」と言った方法を使います。それぞれ全く違った銅と紙の奥に広がるような面を作ることができる、とても美しく面白い技法です。
ディープエッチングによる効果、グレートーンを出したいところ以外を黒ニスでマスキングしていきます。
この他に、グランドを塗った版面(「グランドを引く・塗る」)にリグロインやホワイトガソリンを垂らして布で拭き取って形を作ったり、筆にリグロインをつけてタッチをつけて布で拭き取ったりして、腐食させる面を露出させることもできます。
黒ニスの他にも、マジックインキ補充液もマスキングに使えます。さらさらとした描き心地で細かいところにも塗りやすく便利です。マジックインキはアルコールで比較的簡単に落とすことができます。
腐食の時間が長ければ長いほどエッジが深くシャープになります。ちょっとやそっとの腐食では大したグレーが得られないので、私はディープエッチングをする時は最低70分以上腐食します。この時薄い銅板を使ってしまうと穴が空いてしまったり、穴まで空かなくても版が薄く扱いにくくなってしまうので、できるだけ1mm厚を使うようにしています。マスキングの際も黒ニスをぽってり厚めに塗ってよく乾かします。
腐食の工程については「腐食する」のページをご覧ください。
黒ニスを拭き取って刷っていきます。
刷りの工程については「基本の刷り 前半」のページの通りですが、インクを詰める時にヘラやローラーの角を使ったりしながら、しっかりと溝のエッジにインクが入るように気を付けます。(このページの上から3枚目の図説をご参照ください。)