銅版画制作工程
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既製のサイズの銅板とは違うサイズにしたい場合、金属裁断機やひっかきと呼ばれる銅版切りがなくても、厚さが0.3mmの銅板はホームセンターに売っている金属バサミで、厚さ0.5mm以上の銅板はカッターで切ることができます。「切る」も「磨く」も強い力でというよりも、繰り返し何度も切り込みを入れたり、ヤスリをかけるのがコツかなと思っています。
制作の始まりは版を磨くところから。完成図を思い浮かべながら行う製版作業の始まりになります。(2024年10月改訂)
・カッター(OLFA特大H型刃25mm)
・カッターマット
・定規
・金属ヤスリ
・滑り止め
(1)カッターマットを敷き、カーペットなどに貼る滑り止めを置き、銅板を固定します。
(2)少しずつ溝をつけていきます。定規が滑らないように、また、角度を付けられるようにラバー製のヘラを噛ませています。なかなか力が入りにくい時は、定規をカッターマットにガムテープなどで固定すると良いと思います。
(3)裏面からも同じように溝をつけていきます。
(4)厚さ0.5mmの板はそのまま頑張ってカッターで切ります。厚さ0.8mm、1mmの板は、表裏両面から切り込みを入れてから、机の端などを利用して、片方をしっかり抑えて折ります。切り込みが浅いと角が曲がってしまうので溝はしっかりと。
(5)切断面や角は鋭利なのでヤスリで落として整えます。銅版の縁をきれいに削る「プレートマーク」を作る作業については「プレートマークを作る」をご覧ください。この辺りの作業は怪我に注意してください。
・耐水ペーパー(400〜2000番)
・フェルト
・ピカール
・ホワイトガソリン
・青棒
・当て木
・ウエス
多少の傷なら作品に出ても構わない、むしろ出したい、真っ白の画面を作りたい、グレートーンを思い切り出したい...完成図を思い浮かべながら行う製版作業の始まりになります。
画面に出そうな傷がある場合は耐水ペーパー400番から800、1500、2000番までを使っています。表面の汚れを軽く取る程度の場合は1500か2000番だけで磨きます。画材屋さんで購入できるものは鏡面磨きになっているものがほとんどなので、ピカールで磨くだけで十分だと思っています。
グランドやアクアチントの松ヤニは、見えないくらいでも表面に多少のざらざらがあった方が定着が良いということも聞いたことがあります。そのためにさっと湯通し感覚で、さっと腐食液に数秒くぐらせるということを、特に鏡面磨きにいきなり松ヤニをまく場合はすることがあります。松ヤニが上手くのらないなという場合は、お試しください。
(1)耐水ペーパーに水をつけます。当て木をするのも良いです。お好みで。
(2)銅板の表面をとにかく磨きます。力一杯磨くというよりは、繰り返し何周も磨く方が良いようです。
(3)水分を拭き取ります。
(4)ピカールをよく振って、フェルトに取って磨きます。
(5)汚れを拭き取ります。
(6)ウエスに数滴ホワイトガソリンを垂らし、それを青棒に擦り付け、銅板を磨きます。
(7)ホワイトガソリンで汚れを拭き取ります。目指す肌質にできたでしょうか。
左(もしくは上)の画像が耐水ペーパー400番で磨いている途中の銅板。右(もしくは下)の画像は青棒で磨いたものです。ぴかぴかでカメラの焦点が上手く合わず写り込んだピカールを。