銅版画制作工程
- 制作工程トップページ
- 銅の板を切る・磨く
- プレートマークを作る
- 銅版画を刷る
- エッチング
- ドライポイント
- アクアチント
- ディープエッチング
- ソフトグランドエッチング
- リフトグランドエッチング
- ノントキシック(非毒性)版画技法
- その他の技法
ノントキシック版画技法におけるエッチング、1つ目の方法についてのページです。古典的なエッチングと使う材料は違いますが、手順は同じです。
このページでは、ベルギー・ゲント美術アカデミーのマルニックス・エヴェラールトさんが考案された、床用ワックスをグランドとして使用する方法をご紹介したいと思います。
ノントキシック版画技法については下記のサイトや文献をもとにしています。
・北山銅版画室ウェブサイト
・マルニックス・エヴェラールト「もうそこまで来ている、版画の未来。」(2016)版画学会第45号
・湊七雄「ノントキシック版画技法の普及に向けたワークショップの開発」(2016) 版画学会第45号
・SHICHIO MINATO・湊七雄ウェブサイト Additional Notes「PRINTAMAKING WORKSHOP ARTIST'S GUIDE ノントキシック銅版画への誘い」追記事項
・床用ワックス
・ワックスはがし
・リキテックス グロスポリマーメディウム
・アクリル絵の具
・計り
・筆
・ビンなどの密閉容器
・ニードル
・ウォーマー
・ヘラ
・鉛筆
・トレーシングペーパー
・カーボン紙
(1)版をしっかり脱脂をします(「酸化膜の除去・脱脂」)。既存のグランドと同じ要領で版の上に床用ワックスを流し引きをするか、筆を使って塗布します。写真で見えやすいようにアクリル絵の具を混ぜています。ウォーマーで温めるなどしてよく乾かします。
(2)グランドがほぼ透明なので、転写をする場合はカーボン紙を使います。(「ドライポイント」と同じ方法です。)
(3)ニードルで描画します。描き心地はペリペリパリパリと剥がれて、軽やかにするする描ける感じがします。既存の石油系グランドちょっと濃いめで使うような重みが欲しい時は、次にご紹介する水溶性絵の具とジェルメディウムを使ったグランド(「エッチング②」)をぜひお試しください。
(4)タイマーをセットして腐食します。
(5)腐食の時間差を使って線の強弱をつける場合、一度腐食液から上げ、腐食止めを塗って再度腐食する、を繰り返します。(関連するページ「ドライポイントとエッチング」)
一般的に腐食止めには黒ニスがよく使われますが、除去の際に多くの有機溶剤を必要とするため、ノントキシック版画技法では用いません。
グランドに使っているのと同じリンレイ床用ワックス2、リキテックス「グロスポリマーメディウム」1の割合で混ぜたものを腐食止めとして使います。色がついている方が作業がしやすいようでしたら、アクリル絵の具やリキテックスリキッドを混ぜると良いです。
(6)このグランドは「ワックスはがし」を使って除去します。最初に引いたグランド程度でしたらすぐに除去できますが、腐食止めが重なっている所はなかなか大変なので、「ワックスはがし」をのばして数分置いて拭き取って...を繰り返します。ワックスがはがれたら、水で洗います。
ここで使った筆などもワックスはがしで掃除します。時間が経ってしまうと取れにくくなるので、作業が終わったらすぐに拭くのが肝要です。
刷り方はこれまでの方法と同じです(「基本の刷り 前半」)。