銅版画制作工程
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「カーボランダム」は研磨剤に使われる炭化ケイ素のこと自体を指しますが、それを用いたコラグラフ技法のことをカーボランダムと呼んでいます。コラグラフの仕組みを凹版、凸版と比較して図にしたものを下に載せています。
「コラグラフ」は樹脂板や金属板に布や葉っぱなどの素材をコラージュ(貼る)したり、ボンドやジェッソなどを塗ることによって、版面に凹凸を作る版画の技法を言います。カーボランダムでは使用する炭化ケイ素、金剛砂の粒子の大きさや種類を変えることで、調子を変化させることができます。
カーボランダムとは炭化ケイ素で石英砂とコークスの混合物を加熱して生成される粒子で、版画技法ではストーン・リトグラフの石版研磨に使用する金剛砂のことである。コラグラフの方法でメゾチントのような漆黒の面を作ることができる技法である。砂、クルミの殻を細かく砕いたウォルナットシェル、シェルマチエール、炭化シリコンそして金剛砂などが製版材料として用いられる。
製版方法は二通りあり、生乾きのジェッソの上に金剛砂などをふりかけ、乾燥後余分な粉を落として水で薄めたグロスポリマー・メディウムを表面に刷毛でコーティングするか、もしくはあらかじめジェッソに金剛砂などを濃く混ぜた物を版に直接塗る方法がある。
ー武蔵 篤彦「コラグラフ版画技法の現在」 京都精華大学紀要 (36) 2010 p.283
・金属板、樹脂板、厚紙など
・メディウム
・炭化ケイ素、金剛砂、砂など(番手違いで数種)
・筆
・絵皿、パレット
メディウムに金剛砂を混ぜて描画したものと、それを刷ったものです。メディウムで描画後に金剛砂を振りかける方法より、金剛砂の混ぜる量による変化を出せて表現の自由度が高いと思っています。
メディウムやボンドに、炭化ケイ素や金剛砂を混ぜて描画します。
メディウムの種類や、粉末の大きさによって表情を変えることができるので、アクアチントよりかなり表現の幅が広いように思います。
カーボランダム技法で気を付ける点は、盛りすぎないこと! 盛ってしまうと刷る時に紙が破れたり、プレス機のフェルトやローラーを傷つけてしまいますので、ぜひお気を付けください。
(1)樹脂板や金属板に、ボンドやメディウムなどで描画します。(見やすくするためメディウムに絵の具を混ぜています。)
(2)乾く前に炭化ケイ素や金剛砂をまきます。
(3)余分な粉末を落とし、よく乾燥させてから、インクを詰めてプレス機で刷ります。
使うメディウムによって水やアルコールで落ちてしまうもの、ガソリンに強いもの、色々あったので簡単な比較をしてみました。あくまでメディウムで描画後に金剛砂を撒く方法で行うカーボランダムに使用した場合の強さの比較です。砂を乗せない、メディウム単体での使用ではここまで簡単に剥がれないと思います。あらかじめ砂を混ぜて描画した場合は、強度の差が出るかもしれません。それはまたいつか。今回の手順は下記の通りです。
テストの手順
(1)樹脂版の上に筆を使ってメディウムを塗布
(2)塗布直後に金剛砂を撒く
(3)24時間乾燥させる
(4)ボール紙をかぶせてプレス機で圧を加える
(5)水で濡らしたウエスで拭く(テストプレート各メディウムの一番下の段)
(6)アルコールを含ませたウエスで拭く(テストプレート各メディウムの真ん中の段)
(7)銅版画を刷った後にインクを落とす時と同じ要領でホワイトガソリンで拭く(テストプレート各メディウムの一番上の段)
(8)黒インクを詰めて拭き取りプレスして刷り、ホワイトガソリンでインクを拭き取る(テストプレート全体)
※テスト用に少し強めに拭いています。
※24時間も乾燥させなくても数時間で大丈夫だと思います。
※⑧は乾燥後一部剥がれてしまいました。水やアルコールで落ちたものではありません。
使用したメディウム
①リキテックス ジェルメディウム Liquitex Gel Mediumu—安定。
②リキテックス ヘビージェルメディウム Liquitex Heavy Gel Medium
③リキテックス スロードライジェルメディウム Liquitex Slow Dry Gel Medium—水に弱い。
④リキテックス グロスポリマーメディウム Liquitex Gloss Polymer Medium
⑤リキテックス ペインティングメディウム Liquitex Painting Mediumu —簡単に剥がれる。
⑥ホルベイン ジェルメディウム Holbein Gel Medium
⑦ホルベイン ジェルメディウムソフトボディ Holbein Gel Medium Soft Body
⑧ホルベイン ジェルメディウムハイソリッド Holbein Gel Medium High Solid —硬いので筆で描くのが難しい。
⑨ターナー レギュラージェルメディウム Turner Regular Gel Medium —強度はあるけど、ホルベインのハイソリッドと同じくらい硬いので筆で描くのが難しい。
⑩リンレイ all 床用樹脂ワックス — ノントキシック版画技法でグランドとして使用しているもの。カーボランダムには向いていないよう。
まとめ
結局①リキテックス ジェルメディウム(Liquitex Gel Mediumu)が一番強くて安定していると思いました。テスト用に少し強めにウエスで拭っていて、実際にはここまで落ちないと思いますので、①よりゆるくて描きやすい④リキテックス グロスポリマーメディウム(Liquitex Gloss Polymer Medium)も良いかと思います。
このテストプレートを見ながら、エディション小さい作品ならアルコールで拭き取ることで微妙な調子が作れるかもしれないと思いました。色々な性質ものものがあるので、使い分けられたら楽しいなと思っています。
製版後、グロスポリマーメディウムでコーティングすると良いとも聞いたことがありますが、版全体に均一に塗れる自信がないので、今回はそれをしていません。幅の広い刷毛など使ってきれいに塗れるようだったら試す価値ありと思っています。作品に使えるくらい練習したら、またご報告します。